メテオラ!!
テッサロニキから汽車を乗り継ぎ、カランバカという村に来た。
この近くにメテオラという岩の上に作ってしまった修道院群があるそうだ。
魔法の名前かLinkinparkのCDのような名前だ。
駅を出ると、そこは田舎町であった。小さい町の背後に巨大な岩山がそびえている。
近くでくたびれたバックパッカー数人がパンを食べながらごろごろしていた。
「ハロー!(あんたもこんな田舎に修道院を見に来た物好きかい?)」
「ハロー!(ああそうだ、ものズッキーニだ)」
注:括弧内は心のなかでのやりとりです
駅前の通りを歩くと、おじちゃんが手を振っている。
ああ、田舎はなんてフレンドリーなんだ!
「部屋探してるのかい?」
おじちゃんの後ろには安宿があった。
客引きかよ!
しかし、値段だけでも聞いてみようとフラリ御来店。
部屋もきれいで価格もそのわりに安かったので、
あっさりチェックイン。
ああっ、またやってしまった。
駅前の手ごろな一軒目病だ。
(早くバックパックを下ろしたいがために、近場で妥協してしまうこと)
その日は、アラブ諸国ではあまりお目にかかれなかったスーパーマーケットで
食料の買出しをして、パンとインスタントスープという慎ましい夕食を摂って寝た。
翌朝、バスターミナルに行きチケットを買った。
片道1.6ユーロのチケットなのにきちんと印刷されていることに驚いた。
トルコでは寝台列車でさえオッサンの殴り書きチケットだったのに。。。
村の主要スポット(広場の前、商店の前など)で時々止まり、お客さんが乗ってきた。
バス停の標識などどこを探してもないんですけど?!
さすが田舎。路線が少ないからそんなものはいらないのだ。
バスが坂を登り岩山の間に入ると、岩の上に家のようなものが見えた。
修道院だ。
終点でバスを降り、
メガロ・メテオロン修道院という強そうな名前のところに入った。
現在は公開されている多くの修道院に階段が設けられているが、
昔はそんなものはなく、ロープで行き来していたらしい。
森本レオのような話し方をするおじさんに入場料を払い、
内部に入った。
内部は写真撮影禁止であるのが残念であったが、礼拝堂には
キリストその他のきれいな絵が描かれていた。
アヤソフィアと同じ、ギリシャ正教のものだろうか。
昔のキッチン、食堂、博物館などもあった。
しかし、修道生活というのは要するに何をここですることなのかという、
ごく基本的な疑問は晴れなかった。
こういうときは団体ツアーがうらやましく思う。
ガイドさんがいるからだ。
ああっインド人でもいいからガイドが欲しい!
修道院から出る時、6人くらいの日本人ツアーとすれ違った。
日本人ガイドさんだ。
・・・ふむふむ、あそこにツバメの巣があって、
あの滑車を使って荷物や人を運んでいたのか・・・
二十メートルくらい離れたところから、
全力で聞き耳をたててみたが、むなしくなってやめた。
これは今度ヤフーの知恵袋でしらべよう。
メガロメテオロンからの帰りはほとんど下り坂であるので、
歩いて帰ることにした。
トルコで入手した5年前の地球の歩き方によれば、
「行きはバス、帰りは徒歩で途中からトレッキングコースで帰ることを
おすすめします。」
「修道院を歩いてまわりました!とても楽しかったです!(読者談)」
と書いており、
徒歩で巡るのが当然のように書かれているが、
見渡す限り、他に歩いてまわっている人いないんですけど!
舗装された峠道をとぼとぼと歩く東洋人カップルを
観光客を乗せたバスや家族連れの車が次々と追い抜いていく。
やめろ、そんな目で見ないでくれ!
オレたちはハイキングを楽しんでいるだけなんだ!
ほら、この田舎のグレイトビューを見てごらん!
と心の中で叫んだ。
歩いてまわったおかげで、さまざまな角度から修道院群を見ることができた。
それにしても、なんでまたこんなところに・・・・
隠遁生活のためにしては目立ちすぎるような気がするのだが。
この滑車で物資を運ぶようだ。
岩と建物の境界がない。
だいたい修道院を見たので、村に帰ることにした。
地球の歩き方によれば、この修道院のあたりにトレッキングルートがあるはずだ。
村はもう向こうに見えている。
右におもいっきり矢印がでているが、地球の歩き方の地図ではこれを左にいくように
なっている。
まわりに歩いて帰る観光客がいなかったので、だれもわからなそうだ。
少し心細いが、左の道を進んでみることにした。
道はいわゆるけもの道だ。
道ができているということはどこかに通じるはずだ。
岩と岩の間の隙間のような道を進む。
さらに進む。
手入れの悪い道だ。
村が見えた。さっきより近づいている。
だんだん傾斜がきつくなる。
ところどころ飛び降りたりして進む。
シナイ山の階段ルートよりもハードだな。
そう思いながらロッククライミングのようにして下る。
足元がずるずると滑るようになってきた。
これは本当に正しい道なのだろうか?
マナミを待たせて、先の様子を見に行くことにした。
ズルズルと岩場をすべりながら着いたところはこんなところ。
これ以上降りられないということはないが、ここを飛び降りると
いよいよ引き返すことができなくなる。
これは引き返そう。
町が目の前に迫ってはいたが、
冷静に考えてこんなトレッキングルートはありえない。
撤収だ!てっしゅう~!!
とはいったものの、もはや戻るのも難しくなってきていた。
ロッククライミングのように岩に体を密着させ、両手両足を一つずつ動かして
登っていく。
こんなところでフリークライミングをすることになるとは。
最後は手足をかけるポイントが見つからなかったので、奥様の手を借りて
「ファイトー、いっぱあつ!」のように登った。
オレはこんなところで何をやっているのだろう。
その後も何度か同じようなことをやり、
ようやく最初の分岐点まで戻ることができた。
遠くから観光客の視線を感じる。
違う、俺はただ珍しい景色を見に行っただけだ!
今度は矢印の指す方向に行ってみた。
これは地図によれば修道院に向かうルートであるが、もう信用していない。
よく地球の歩き方のことを「地球の迷い方」と揶揄する人がいるが、
こうやって世界中で日本人が迷子になるのだろう。
地図だけは正確に作ってくれ!
修道院に向かう坂道を下りきったところで、
看板があるじゃねえか!
さっきの道のりを
「無謀!初心者クライマー、ギリシャ山中にて遭難!」
とすると、
この道は
「カップル、ファミリーにおすすめ!石畳の山道でレッツハイキング!」
くらいの違いである。
さっきの飛び降りたりしたのは何だったのだろう。
見上げると、先ほど通ろうとしたルートが見える。
この写真のちょうど真ん中くらいの岩場が露出しているあたりで
引き返したと思われる。
こちらの正解ルートは最後までスイスイ進み、
無事に人里にたどり着くことができた。
ちなみにアテネで見たロンリープラネットでは
地図に正しいルートが描かれていた。
神のご加護か。帰れてよかった。
福
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